2009年12月31日木曜日

英国ロイヤルオペラバレーから学ぶ人材育成

世界三大バレー団のひとつ、英国ロイヤルオペラバレー団による「くるみ割り人形」を見てきました。まさにこのクリスマスから新年を迎えるにあたって、ぴったりのおちゃめで愉快なバレー。お菓子の国でのファンタジーな物語は、初心者の私も、無事、眠らずに楽しく数時間を過ごすことができました。





感心したのは、英国ロイヤルオペラバレーの人材育成術。


1.世界中からタレントを引っ張る

ロイヤルという名を冠しているものの、人材はローカル採用ではなく、それこそ世界中から取り入れているのがこのバレー団の特徴です。



たとえば、今日の目玉はなんといっても、世界最高峰とも言われる、アリーナ・コジョカル。彼女は、ルーマニア出身。



そして、うれしいことに、日本人も4人出演していたという快挙。こんなところで、日本のグローバル人材は活躍していたのです。うれしくなりました。韓国人もいました。



熊川哲也もこのバレー団出身ですね。



2.幼少からトレーニングをする

また、このバレー団、自前の学校をもっています。その名も、Royal Ballet Schoolで、これまた世界有数のバレーダンサー育成機関だそうです。



11歳から16歳が学ぶLower Schoolと、17歳から学ぶUpper Schoolの二つが併設。Upper Schoolは、専用の劇場Royal Opera Houseに隣接しています。



3.どんどん実地を積ませる

今日の「くるみ割り劇場」でも、このRoyal Ballet Schoolの学生の多くが出演していました。練習しながらも、一流の舞台に出演する機会が与えられるという仕組みなわけです。その上、超一流といわれるプロの演技を間近で同じ空気を吸いながら学びとることができる。



また、専用の劇場があることから、定期的にRoyal Ballet Schoolの発表会も頻繁にあるようです。



ロイヤルオペラハウス

専用のトレーニングセンターをもち、専用の劇場をもつ。優秀であれば世界中から人材を引き抜き、自前でトレーニングしつつ、実地経験も積ませながら成長させる、この人材育成の生態系が見事にできあがっていると感じさせるのです。



これは、ビジネス人材育成でも同じ考え方が通用しそうです。

2009年12月29日火曜日

会議では暖かい飲み物を出そう!

ロンドンは、ここ最近天気が続いていて快調ですが、外に出るとピリリと寒い。こういうときには、ぬくもりが恋しくなるものです。



今日のお題は暖かさについて。みなさんもご存じのとおり、暖かいには二通りの意味があります。



ひとつは、物理的に暖かいか冷たいか。熱い飲み物と冷たい飲み物とか、そういう表現のときにつかう「物理的な暖かさ」。



もうひとつは、あの人は暖かい人だよね、とか冷たい人だよね、というように使う「対人的な暖かさ」。



面白いのは、最近の研究成果*によると、この「物理的な暖かさ」は「対人的な暖かさ」を促進するというのです。



要するに、この二つの異なる「暖かさ」は、知らない間に私たちは、関連づけているというのです。



どういう実験かというと、被験者に暖かいものを持たせて、ある人にあわせるのと、冷たい物を持たせて、ある人にあわせるのとでは、暖かい物を持たせた被験者の方がそのある人をより暖かい人と判断する傾向にあることが分かりました。



この研究結果からの示唆:


会議や仕事で人を招いたときなどは、暖かいお茶かコーヒーを出しましょう!



*Experiencing physical warmth promotes interpersonal warmth

Lawrence E. Williams and John A. Bargh

2009年12月26日土曜日

革命をもたらしたセクシー料理番組

こんにちは、クリスマスも終わりですね。イギリスでは、12月26日もBoxing Dayと称して、お休みです。元旦明けの3が日はお休みというのと、同じで、クリスマスの余韻が残りつつ、New Yearを迎えるのです。



さて、Nigella Lawson(ナイジェラ・ローソン、1960年生まれ)をご存じでしょうか?じつは、彼女は料理ジャーナリストであり料理研究家。で、BBCやいくつものチャンネルで料理番組をもっています。



こう書くと、日本にでもありそうな料理研究家のパターンですが、彼女が料理界にもたらしたコンセプトが、衝撃的なのです。



ひとことでいえば、「料理」に「セクシーさ」を存分にもってきたということなのです。日本で料理番組というと、分かりやすく、清潔感あふれていて、昼間の明るい時間の番組で、わきあいあいという感じですが、これとは全く違う。



「料理」に「セクシーさ」。この二つ、一瞬考えると、相容れない感じなのですが、それを見事に合体させたところに、そのユニークさがあると思います。



こういう切り口があったかぁ、と思わず感嘆してしまう。そのインパクトたるや、すごくて、本が売れない時代に、今や彼女の本は全世界で300万冊!を売り切る実績で、メディア界でも相当な影響力をもつに至っているようです。



Youtubeに彼女の料理番組はゴロゴロ転がっているので、そちらを見て頂くとして、たとえば、ひとつあげるとすればこれ。



BBC “Nigella Christmas Kitchen”




この番組の特徴は、ドラマ仕立て、耽美、パーソナル・ドキュメンタリーの3つにあると思います。

ドラマ仕立て

実際のクリスマスパーティーを開催するというセッティングのもと、番組が進んでいきます。パーティする前日の準備、当日の朝何をするのか、そして、パーティ開催中はどう動けばいいのかなどを知ることができるわけです。だから、パーティ開催中のシーンなどは、キッチンを撮影していても、ゲストの歓談が聞こえたりする。また、誰もが憧れるようなキッチンとリビングルームのセットも雰囲気を盛り上げていますね。



耽美

50歳には見えないナイジェラの美貌を全面に押し出した番組づくり。料理をつくるときのアップの切り取り方も計算尽くされたつくりで、耽美感を醸し出しています。また、彼女の放つコトバ選びもたいしたものだと思います。また、途中に流れるジャズなどの音楽も日本の料理番組では考えられなかったセレクション。感覚に訴えかけるつくりです。だから、塩が何グラムでとかといったレシピは一切画面にでてこず。詳しく知りたければネットでどうぞということでしょう。



パーソナル・ドキュメンタリー

あわせて、この人気大物料理ジャーナリストのパーソナル・ドキュメンタリーにもなっています。料理の手順を伝えるのではなく、彼女がどう考えているか、どう思っているか、料理に対してどういう思いをもっているか、そんな彼女ならではのパーソナル感もよく出ているつくりになっている。



私なんかは、料理番組というと、NHKの料理クッキングのような固定観念をもっていたので、良い意味でそれを崩され、「こうきたかぁ!」と感心した次第です。思い込みを捨てることから、チャンスを生まれる、ですね。

2009年12月25日金曜日

英国家庭で過ごしたクリスマス・デイ

ヨーロッパでクリスマスといえば、家族で過ごす大事な時間。移民が多いロンドンは、すっからかんになる感じです。もちろん、ロンドンですので、いくつかのお店は開いていますが、いつもと違って、落ち着いているこの時期のロンドンも違う横顔を発見するようです。

そして、幸いにも、いつも親しくさせてもらっている近所のイギリス人カップル(プラス5歳になる娘さん、クララちゃん)が、新年に帰省することになったことから、クリスマス・デイに招待してもらって、イギリス的クリスマス・デイを過ごすことができた貴重な1日となりました。

一歩、フラットに足を踏み入れると、ミシミシと床がうなり、建物の歴史を感じさせると共に、部屋を見渡すと、エントランスの家具、向こうに見えるリビングルームの机、シェルフなどがどれも古く、ほどよくこなれており、何とも心地よい重厚感を感じるのです。

それに加え、フラットのいたるところに飾られているクリスマス・デコレーションが華を与えてくれています。応接間には、本物のクリスマス・ツリーがあしらってあり、きらきらと電灯がカラフルに点火していました。

新しいものはいいこと!とどこかで思っている価値観とは、正反対で、ひとつのものを長く使い込み、そのほどよい使い込み感を楽しみながら、部屋をコーディネートしていく考え方です。

ご夫婦は、アート・リサーチセンターを二人で経営していることもあって、部屋の雰囲気にもひといちばい気をつかっているのかもしれません。

そういえば、ご夫婦は、宮崎アニメを絶賛していました。とくに、5歳になる娘が大好きだそうで、ラビュタ、ナウシカ、ポニョ、もののけ姫などなど、ほとんど見ている模様。

食事は、サーモンとブレッドや、オリーブオイルなどのスターターにはじまり、メインの魚、ローストポテト、栗とミニキャベツのロースト、と続きました。じつにおいしいではないですか!

そて、デザートはイギリスならではのプディング・ケーキでもてなしてくれました。ひとつは伝統的なプディング、もうひとつは奥さんオリジナルのプディング・ケーキ。


イギリスの伝統的なプディング


奥さんオリジナルなプディング

伝統的なプディング・ケーキは、果物、ナッツ、オレンジの皮、レーズンなどがぎっしり詰まった、濃厚なケーキ。最後にブランデーをかけて、火をポワーッとともしてアルコールを飛ばす。とてもいい香りが部屋に充満する。もう、ここまでくると、お腹いっぱい!

子ども達はとっくのとうに、食事に飽きて、テレビに釘付け(苦笑)。だからオトナ達はゆっくりしていられるのです。ラッキー。

最後は、やはり、ここはイギリス、フォートナム・メイソンの紅茶とチョコレートをいただくと、もう外は真っ暗。子ども達も疲れてきているようで(遊びすぎ!)、一家帰路につくのでした。

家につくと、うちの子は上機嫌。何でだろうと思うと、こんな発言。「クララちゃん、I LOVE YOUっていってたっ(ニヤニヤ)」。それは嬉しいよね。クララちゃん、かわいいもん。
Posted by Picasa

2009年12月23日水曜日

LBSのキャリア支援ポータルサイトとは?

以前のエントリで、ビジネススクールは転職エージェントと書いたことがあるのですが、それは、Career Servicesという就職課と、ビジネススクールというハブの機能があるから。

最近のリーマン・ショック以降の転職・就職氷河期で、ビジネススクールの在校生は職探しに苦労しているのは事実。そのために、Career Servicesが不満のはけ口になったりしているのもまた事実。

とはいえ、基本的には職探しは、学生の仕事。Career Servicesが職を機械的に提供してくれるわけでもありません。

でも、それなりに彼らも努力をしてサービスを提供しているのも事実。私も委員をやっているコンサルクラブとCareer Servicesは毎週定期的にミーティングをしているので分かるのですが、彼らもけっこう必死。

Career Servicesは、業界毎にチームが編成されています。金融、コンサル、インダストリがまず大きな分類で、その中でいくつかのサブチームに分かれています。彼らの業績は、在校生の「就職率」で評価されているのです。

では、学校の就職課であるこのCareer Servicesはどんな支援を学生にしてくれるのでしょうか?あまり、日本になじみのない機能のような気もするので、さわりだけ紹介したいと思います。

中心的な役割を果たしているのがこの、Career Centralと呼ばれるキャリアに関するポータルサイト。



ここからCareer Servicesが企画する各種のイベントへの申し込みを行うことができます。カバーレターの書き方、1 on 1のコーチングセッション、業界説明会、会社説明会、インタビュー練習などなどがここからサインアップします。人気のセッションをすぐに一杯になるようです。

学生が受けるサービスとしては、これとは別に、ファイナンスクラブ、コンサルクラブ、PEクラブなどのプロフェッショナル・クラブたちが企画するイベントもありますね。ですので、とくにイベントが盛んになる11月などは、よくよく考えないとイベントに忙殺されることになりそう。

それから、目玉は、このジョブ・ポスティング。ちょっとしたインターンやプロジェクト、またパーマネントのジョブがここにポストされていて、ここからそれらに応募することができます。



なお、アジアもカバーされていますが、残念ながら日本マーケットはそれほどカバーされていません。

また、学生は履歴書(CV)をこのCareer Centralに登録する必要があり、MBA生に興味のある会社に公開されています。これを通して、ときどき会社からコンタクトがきたりします。学生同士のCVも見ることができるため、CVの書き方に役立ちますし、お互いのバックグラウンドを理解するのにも役に立ちます。

イベントで使用した資料は、いくつかのイベント・説明会に関しては、On Demandでビデオをパソコン上で閲覧することも可能です。




そして、大事なのが人脈づくり。LBSのディレクトリを使ってアルムナイを検索し、コンタクトすることが奨励されています。インダストリー、ロケーション、ポジション、言語、卒業プログラムなど多くの項目から検索をかけることができるので、就職だけでなく、それ以外の理由でも大いに役に立つのがこのディレクトリです。



こういう支援はあるものの、最後にジョブを勝ち取る学生は、結局ものすごい個人で努力をしていることも忘れてはいけないと思います。

2009年12月22日火曜日

MBA受験を考えているみなさんへ

いよいよMBA出願シーズンがはじまり、人によっては来年の中頃まで忙しくなるかと思います。在校生としては、日本でもより、LBSのプレゼンスが向上し、日本人入学生が増えてくれればうれしく思います。

私たちの代、MBA2010は日本人5名、その次のMBA2011は日本人9名と、ここ最近の減少傾向に歯止めがかかりました。最大の要因は、私費学生の増加なのですが、もしかしたら、ポンド安の影響かもしれません。

来期はこれが一時的ではないことを期待しています!ですので、アメリカには素晴らしいビジネススクールが揃っていますが、ぜひ欧州のビジネススクールも検討してみてください。

過去のブログの中から参考になりそうなエントリーとしては、まず学校の特徴についてはこちら

そして、LBSの出願エッセイの特徴については、こちら


また、己を知り、相手をしることがやはりエッセイの鍵です。LBSについての情報は、良質のものがけっこうウェブにも転がっていますので、思い付くままにリンクを貼り付けておきます。

LBSのオフィシャルブログ。在校生とアドミッションチームがブログを書いています。在校生のブログを読むと、日常が垣間見えてくると思います。

http://mbablog.london.edu/

とくに面白いのは、ある学生が11月のスケジュールを公開していて、1年目の秋学期の生活の様子が分かるかと思います。一ヶ月のスケジュールはこれ。
http://mbablog.london.edu/.a/6a00d834527c6769e20128764e76e4970c-pi

LBS MBA TV。アドミッションチームが作成したLBSを紹介するショートビデオ。全14編あります。映像があるとキャンパスビジットをされない方にとっても役に立つかな?
http://mbablog.london.edu/mbablog/mba_tv/

LBSの日本人在校生による非公式ウェブサイト。アドミッションチームも暗に認めてくれているサイトです。プログラムの概要に加えて、合格体験記、インターン、就職活動体験記も読むことができます。とくに合格体験記は、エッセイの準備、面接のこなし方など実践的なノウハウが含まれていると思います。
http://www.geocities.jp/london_bizschool/

LBSの教授陣について。教授については、あまり知る機会がないかもしれませんが、たとえば、この動画は雰囲気だけでも、参考になると思います。
http://www.londonbusinessschool2009to2010.co.uk/

それでは、みなさんのご健闘をお祈りしています!Good Luck!

2009年12月21日月曜日

ブログのラベルを整理してみました

このブログも気付けばエントリーは300ほどにもなり、かなり書き散らかした感があるので、左側にある「ラベル」を整理してみました(また分類方法は変わるかも知れませんが、現時点のは以下)

じつは、このブログ、読んで頂くという意味で適度なプレッシャーがかかり、かつ自分の考えを少し振り返り、定着化させるのにとても有効なんです。毎月最低15記事を書こう、と密かに目標を設定しいたのですが、大体達成できている気がします。

この留学生活ものこり1年きりました。書くことのできるエントリーも限られてくるというわけですね。書いておきたいのだけれど、いまひとつ落ち着いて時間がとれず、書けていないネタもたくさんあるのですが、なるべくアップしていきたいと思っています。

ロンドンビジネススクールを知る (121)
日常生活を綴る (64)
写真で見るヨーロッパ旅日記 (53)
経営を考える視点 (37)
ロンドンと英国 (35)
人材育成とビジネス教育 (28)
知の創造・蓄積・展開 (23)
マーケティングへの洞察 (18)
行き着くのはリーダーシップとヒト (16)
世界のMBA動向 (16)
世界経済を実感する (16)
コンサルタントの「技」 (12)
MBA受験に役立つ情報 (9)
我が国ニッポンを振り返る (8)
キャリア論と人生 (7)
コンサル業界と仕事 (7)
ビジネススクール初!アート展覧会 (7)
気に入った本・論文・記事 (7)

巨大岩の上にある街はロンダ

標高800メートルに位置するロンダは、なんと、岩だらけ。何人かの方々からロンダを薦めてもらったので、やってきました、この町に。スペインのマラガからバスで1時間45分ほどかけて、地中海沿岸から山へ登っていく。バスの車窓から、のどかな田園風景やなだらかな斜面と段々畑、また時折通り過ぎる白い屋根が連なる小さな街を楽しんでいると、ロンダにつく。この辺りのバスは、どれもすこぶる快適。シートの余裕もたっぷりあるし、バスの車体も新しいのがいい。スペインらしからぬ、時間の正確性も旅行者には強い味方です。



さて、このロンダの最大の見せ場は、この標高差100メートルあるヌエバ橋からの絶景。このような見せ場スポットは、まず日本ではあり得ない。危険すぎるのです!



そして、その深くV字に切り出された谷をのぞき込むと、おお、久々に味わうこの恐怖の感覚。もうかれこれ10年以上前には、山岳部時代に日本アルプスを縦走したいた頃の感覚が瞬時によみがえって来ました。



ヌエバ橋から望む、岸壁にはせり出すようにホテルやレストランが建ち並びます。日本のように地震が多い国でしたら、まず建築基準法にひっかかって、こんなのは無理で、観光スポットにならないでしょうね。



これは橋の反対側からの景観。いやー、人間、どんなところにでも住めるものですね。巨大岩の上にあるロンダは、コルトバと打って変わって、力強さたっぷりの街となりました。そして、やはりこれくらいのインパクト!がないと観光スポットにはなり得ないというのもひとつの教訓です。
Posted by Picasa

アイスランド人が語るアイスランド経済

今日は、アイスランドについて考えさせられた1日となりました。というのも、アイスランドの旦那さんとフランス人のカップルが3人の子ども!を連れて我が家に遊びにきてくれたからです。ロンドンとは国際都市といったものですが、本当に様々な国籍の人がいる。奥さんはフレンチですが、モーリシャス島のとなりにあるレユニオンの出身。じつに優しい方です。



私にとって、こうしたゲストと話すのが一番の世界経済の勉強になっています。その国の人話しをすることによって、日頃の乾いたニュースに彩りが添えられのです。彼らが本当はどう思っているのか、そんな素顔を垣間見ることで、経済の実態が少し見えてくるように思います。



日本人にとっても、2008年の金融危機では記憶に新しいアイスランド。アイスランドは、わずか30万人の人口で、国土は北海道と四国を足したくらいの実に小さな国。しかし、侮ってはいけない。金融危機以前は、一人当りGDPが8万ドルを超し、日本の実に2倍!世界でもトップ5に入る強さを誇っていたのでした。EUには加盟せず、独自の通貨クローナをもっていましたが、金融危機で一気にやられ、3つの銀行は全て崩壊、国の公的管理下に置かれました。



そもそも、なぜ一人当りGDPが高かったのか?

アイスランドの産業は、漁業と金融が主だとのこと。そして、漁業は相当に儲かっているのだそうです。金融に関しては、アイスランドの銀行はUKにもどんどん進出し、金利を高めに設定して、お金を集めまくっていたそうです。そのお金をどんどんまた融資していく。



そして、とにかく浮かれていた!

景気がいいときには、それでいいのですが、アイスランド人曰く、「それが長続きするわけがなかった」とのこと。なにしろ、貸し出しが相当ずさんになっていた模様。アイスランドは狭い国土、そして、みんな知り合い。だから、きちんとした審査もろくにせずにどんどん集まったお金を使って融資、投資しまくっていたらしいのです。



この世の春を謳歌していた頃は、アイスランド人はみんないい思いをしていたとのこと。会社の経費を使って、色々と楽しいことをやれたのだそうだ。まあ、バブル期の日本と似たようなものなのでしょうね。


EU加盟に一気に動いている!

危機をへて、今は一気にEU加盟に動いているそうだ。歴史的に、アイスランドはいつもEUとロシアの間にいて、どっちつかずの態度をとって、両者をもてあそんでいたそうだ。今回の金融危機の際も、ヨーロッパ勢ではなく、ロシアが4000億ほど融資するというニュースを覚えている方もいると思います。ヨーロッパが助けてくれるのなら、ロシアがいるもんね、という感覚。ところが、結局、ロシアは救済策を言い出したものの、結局お金を出してくれなかった!んだそうです。そうだったんだ。



でもって、やはり頼れるのはEUということで、一気に加盟申請に傾き、すでに加盟申請手続き中という変わり身の早さには脱帽です。それだけ、ショックが大きかったということでしょう。そうとなると、話しは早い。アイスランド人曰く、「すでに多くの経済活動がEUに組み込まれている」そうで、もともとヨーロッパに根を根ざしているということを主張していました。



でも様々な障壁が立ちはだかる

とはいえ、やはりEUへの反対も根強いようです。とくに、北欧諸国から独立した経緯があるアイスランドにとって「その独立心!を失うのか!」的なノリがあるらしく、ここを克服しなければいけないらしいのです。もうひとつ、彼が言っていたのは、漁業権がどのような影響を受けるか不透明なので、この点について多くの国民が疑心暗鬼になっているとのこと。



彼自身は、フランスに4年、イギリスに8年住み、海外生活が長く、もうアイスランドに戻る予定はないようです。アイスランドは今後、どうなるでしょうか。やはり30万の小国が単体で、この不安定な金融の世界を生き延びるのは不可能と証明されてしまった以上、EUには加盟すべきでしょう。でもアイスランド政府も気付いているように、早く動かないと、喉元通ればなんとかというように、危機の痛みを忘れてしまうと、独立熱がメジャーになりかねないと思います。

2009年12月19日土曜日

スペインとは“食”で繋がる!

スペインといえば、何を思い浮かべるでしょうか?

日本からスペインへはじつは直行便が飛んでいません。ロンドンやオランダなどのヨーロッパのの都市で一度乗り換えてこなければいけません。文化的、経済的にもにもラテンで南米と親密ですので、そういった点からも日本とつながりがうすい。

ところが、地理的な環境を見ると、意外と似ていることに気付かされます。まず、緯度がだいたい同じ。山がある。海に囲まれている。だからなのかどうか分かりませんが、日本食との共通点があり、だからこそ、私たち日本人はスペイン料理がウマイ!と思うのではないかと勝手に推測しています。

いやいや、スペイン料理は本当においしいのですよ。



ハムとチーズの盛り合わせ。スペインの生ハム、ハモン・セラーノは、口に入れると、塩味が絶妙でとろけそう。このあたりはどこかとろや和牛の感覚と近いのかもしれない。



これは、タパスの基本形とでもいいましょうか、ホタルイカの天ぷら。スペイン人の友人曰く、これは絶対食べろ、とのこと。

オリーブオイルで揚げてあるので、香りがとてもいい。レモンを搾って、熱々のまま口に頬張る。外はかりっとしているけど、ひとたびかむと、中はジューシー。アツアツと言いながら食するのが美味です。

そもそも、天ぷらのルーツは、このオリーブオイル揚げがルーツだとか。日本人の味覚に合うわけですよね。




そして、おなじみのパエリア。ライスに魚介ベースでの味付けですから日本人好みにきまっています。子どもは正直なもので、パエリア大好きと化し、顧客満足を通り越して、歓喜のダンスを始める始末。そう、顧客歓喜はこういうことですね。



そして、数々のタパス。食べきれません。調子にのって、オーダーしすぎました。



もちろん、イベリコ豚もおいしくいただけます。野菜ときのことともにいただくこのイベリコ豚も、ポーク料理が大好きな日本人の味覚によく合うこと。

やはり、人間、食べ物が豊かだと幸せになれるのだと実感させてくれるのがスペイン料理。

私たちがスペイン料理が好きなように、じつはスペイン人も日本料理好き。私のスタディ・グループメンバーだったスペイン人も毎日のように寿司を買って食べていると言っていたっけ。

先日は、スペイン人ファミリーと料理を教えあう会をやったほど。我が家で食事するときは、日本料理を教え、こちらから向こうにお邪魔するときは、スペイン料理を教わるというもの。料理をつまに話しも盛り上がり、このやり方はなかなかいいことを発見。

そう、スペインとは“食”でつながります!

ビジネススクールMBAも提携・連携の時代

 
産経ニュースによると、神戸大・慶応大・京都大がMBA教育で提携するとのこと。

神戸大と慶応大、京都大の3校は18日、MBA(経営学修士)教育で包括的な連携を行うと発表した。来年1月18日に基本合意書を締結する。私立と国立の専門職大学院が広域で提携するのは初めて。

現在、3校のMBA教育方法はそれぞれ異なるが、各校の強みを学び合うことで従来の欧米型ではない日本独自のMBAプログラムを開発するのが目的。来秋にも“出前授業”や単位互換を行う方針という。


日本のビジネススクールでもMBAプログラムで提携が始まってきました。その目的はまだこのニュースだけではクリアではないところもありますが、欧米のビジネススクールではここ最近、提携はかなり多く見ることができます。

たとえば、ロンドンビジネススクールは、その「国際性」というウリをより強固にするために、かなり広範に世界中のビジネススクールと提携をしています。その形態はいくつかの形があるようです。

1.交換留学
ロンドンビジネススクールの場合、MBAの学生のじつに35%(120人くらい)もが、30の他のビジネススクールに交換留学に出かけていきます。ですから、2年目にもなると、最近見ないなぁという学生が大量に続出するわけになるわけです(笑)。スペイン、中国、アフリカ、香港、オーストラリア、アメリカなど世界中のビジネススクールに出かけていくことができます。その枠は相当数あるため、希望をすれば大抵第二希望内にはどこかへ行けるようです。逆に、LBSに世界中のビジネススクールから交換留学にくるため、交換留学生ということで一クラスの絆ができあがっているようです。

2.ジョイントディグリー
LBSに現在あるのは、コロンビアビジネススクールと香港のHKUビジネススクールとの2校。それぞれの学校とジョイントでMBAを出すようです。また、コロンビアビジネススクールのあるニューヨーク、HKUのある香港、そしてLBSのあるLBSの3地点で学ぶという選択も可能だとか。いずれにしても、地理的な多様なニーズをとらえるために、他のビジネススクールと提携しています。中東エリアは提携はせず、独自にキャンパスを構えて、Dubai London MBA Programmeがあります。

3.カリキュラム共同開発
たとえば、最近何かと話題のCSRやEthicsに関しては、LBS、Oxford、Cambridgeで授業で使用するケースや教材を共同開発をしています。これは企業に置き換えて考えてみると、R&D、商品開発はジョイントで行うのと似ていますね。

企業の世界でも、全ての企業活動を独自に行う必要がなくなっていったとのとまったく同じ現象が、ビジネススクールでも起きていると見ることができると思います。

2009年12月18日金曜日

「組織が主語になる言葉」

これは、いつも読ませていただいている“Nakahara-lab.net 中原研究室 大人の学びを科学する”のブログ・タイトル。冒頭こういう出だしです。
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/12/post_1621.html


“先日、Learning barで金井壽宏先生がおっしゃっていた言葉で、非常に印象的なものがあった。  それは、 「組織が主語になる言葉は、怪しい」  ということである。”

そう、まさにこれは多くの企業の方々と接していて思うこと。企業もしくは職場の健全度というのは、そこで会話されているコトバでもって、ある程度判断できます。

今、財政的な危機に陥ったある教育機関のコンサルティングを学業の傍らで行っているのですが、まさに「組織が主語になっていたこと」が大きな根本原因だったのです。その教育機関のキーパーソンを集めて、ワークショップを開催したとき、冒頭で議論が膠着して、進まない。議論が進まない。自分たち探しをし始めたのです。

"そもそも私たちのミッションは何なの?ミッションをきちんと定義しないと、だめよ"
"チャリティ組織とは、こうこうしかじか、あるべき"
"今のこの組織は、そうなっていないから問題なのよ"
"この組織はチャリティ組織なのだから、利益を考えてはいけない"
"でも、今はお金がないのだから、利益を出さないといけない"
"創業者との関係をきちんと決めない限り、前に進めない"


この手の議論が始まると、絶対にといっていいほど、議論は収斂しません。なぜか?それは、どの議論の断片もそれなりに一理があるからです。みな、それぞれのバックグラウンドから合理的に正しいと思うコトを主張していくわけですから。

このような場合、全ての関係者が納得し、議論を導いてくれるガイドが必要です。では、どのようなガイドが必要でしょうか?

今回のケースでは、議論がきわめて内側に志向してしまっているので、それを外部から客観的に評価する必要があります。私がこのとき話したのは、「顧客」この一点のみです。

"みんなは、この組織のことばかり話しているけれど、生徒はどう思っているんでしょう?"

"400人の生徒のうち、100人がこの1年間で去ったのは、本当に金銭的な理由だけでしょうか?彼らは、何を思い、何を感じているのか、何に不満をもっているのか、そして彼らがこの組織に何を期待しているのか、みなさん答えられるでしょうか?"

"私たちは、まず、生徒さんの悩みに思いを馳せ、それをくみ取り、そしてその次に、この組織が彼らに何をサーブできるのかを考える必要があるのではないでしょうか。ですから、ミッションやチャリティや各種の施策はおいておいて、生徒のニーズ、思い、悩みから議論しませんか。"


だれもが顧客が大切だと思っています。しかし、議論の渦中に入ってしまうと、それが見えなくなる。そして、いつの間にか組織が主語になっていく。そのときに、この顧客の視点を一気に導入すると、いつだってきわめてパワフル。具体的な顧客の悩みと切り出すと、そこには誰もが逆らえない崇高感があるのです。組織が主語になっている場合は、顧客視点をガツンと議論の中に投げ込んであげると効果的です。ここさえきちんと押さえられれば、いわゆる通常のマーケティングのプロセスにのせてあげることができるからです。

2009年12月17日木曜日

イスラムが色濃く残る街、コルドバ

日本人には、宗教という概念があまりない-少なくとも私自身は普段はあまり意識しないで生活しています。じつは、文化も然り。日本人は、独特の宗教観をじつのところ、持っていると思うし、外から見るときわめて独特な文化も持ち合わせています。ところが、それを顕在的に実感としてもたないのは、奪われたことがないからではないか、そんな風に思います。奪われてはじめて気付くものがある。


スペインの南、コルドバは、文化の色が長い歴史の中で何度も塗り替えられ、その結果として独特な雰囲気を醸成しています。(コルドバの街並み)



8世紀まではキリスト教であったコルドバも、オスマン・トルコによる侵略でイスラム教に。その後、イスラムは大繁栄。その際のイスラムらしい建造物は街のいたるところで見ることができます。(メッシータで見ることのできるアーチ)



その後15世紀には、再びキリスト教徒の手にコルドバの地は明け渡されます。イスラムの建物を利用して造られたカテドラルがこれ。さらに、この建造に数百年を要していることから、その建築スタイルも変わっていく。まさに建築の変化と宗教の変化の両方が相まって、複雑性の高い建物に仕上がっています。(カテドラル)


さらには、ユダヤ人街もコルドバには残されています。ここは毎年5月には、花の祭典を行うようで、細く曲がりくねった通路が人と花で一杯になるそう。そんな時期に訪れるのもいいかもしれませんね。
Posted by Picasa

スペイン~城を改装した豪華ホテル

パラドールをご存じでしょうか?

パラドールとは、スペインにある国営のホテルチェーン。なんとその数はいまや、92。国営といって、侮ってはいけない。これらのホテルは、昔の城、宮殿、修道院を改装してホテルにしていることも多く、スペインの歴史や文化を堪能するにはうってつけ。

"観光の中心地ヨーロッパ、そしてその中の歴史と文化の宝庫スペインには素晴らしいホテルがたくさんありますが、スペイン独自に開発され国営のホテルとして世界中の脚光を浴びているのがパラドールなのです。"

"ベガ・インクラン伯爵が(現国王の祖父にあたる)アルフォンソ13世に提唱して自分の所有するグレードスの狩猟の為の山荘改装し1928年にパラドールとして公開したのが第一号です。その後、貴族制度の崩壊と共に荒れ果てていた昔からの歴史的建造物である古城や宮殿、修道院といった文化財を国家で買い受けあるいは借り受けて修復を施しホテルとして見事に蘇らせることに成功したのです。"

"文化財の保存の費用を生み出し、宿泊客からは一級の設備の整ったホテルでありながら、実在の歴史上の人物がかかわった城や宮殿に実際に触れ、中世の旅が味わえるということで世界中の旅行客から人気を集めているのです。アルハンブラ宮殿の修道院を利用したホテル・サンフランシスコや神聖ローマ帝国皇帝を兼ねたカルロス5世が住んでいたハランディージャ・デ・ラ・ベラなどは特に有名です。"


(パラドールの日本総代理店ウェブページより)

そして、驚くべきはその破格の値段。20歳~35歳までの若者であれば、何と一泊朝食付きで56ユーロ(およそ7500円)で泊まれるのです。これは、日本でいえば、東横イン並のローエンドな値段で、ラグジュアリー感満載のホテルを満喫できるわけです。その他シニア向けや連泊割引なども多く用意されていて、賢く使えばかなりよいと思います。

これを見逃さない手はないでしょう。

凍えるロンドンを逃げるようにして、やってきたのが南国色漂うマラガのパラドール。ここは、マラガの街並みを一望できるジブラファル城にあり、そこからの景色は息を飲むかのよう。マラガの海、街並み、要塞を展望するこの景色は、ホテルのロビーからはもちろん、レストラン、そして部屋からいつでも眺めることができるのは何とも贅沢。

爽やかで心地よい風とともにこの景色が朝を出迎えてくれ、夜は夜景とともにこの景色を楽しむ。中心街からは少し離れた丘の上にあるため、喧騒からも離れ、なんだかとてもゆったりとした時間が流れるていくかのよう。

そして、なによりもいいのがスタッフが子どもにとてもフレンドリー。あまりにもラグジュアリーすぎるホテルに泊まって、子どもが騒いで肩身がせまくなることもないのが嬉しい。



マラガのパラドールは30部屋


左にあるのがパラドール~最高のロケーション!


部屋からの景色


歴史を感じさせる佇まい


アンダルシアの雰囲気に寄り添うように過ごすことができたパラドール。次はどこのパラドールに行こうか、そんな風に思わせる魅力があります。
Posted by Picasa

2009年12月12日土曜日

「ジョージ・ソロス VS アカデミックの世界」から見えてくることとは?

イングランド銀行に対しポンドを空売りし、ポンドを暴落させたとして名を馳せたジョージ・ソロス。そして、ソロスファンドは、数千%の利回りをたたき出していく。

そのジョージ・ソロスと、ロンドンビジネススクールの教授陣Sir Andrew Likierman (chair), Julian Franks, Richard Portes, Lakshmanan Shivakumarがパネルディスカッションを展開しました。

独自の視点で世の中を見ているジョージ・ソロスと、ファイナンスの理論を通して世の中を見ている教授陣の対立が透けて見えるようで、面白かった。

じつは、私はソロスの思想には明るくないのですが、表面上は(?)教授陣は、ソロス氏の主張に賛同していましたが、おそらく根本的な思想の違いがあることがディスカッションから伝わってきてのが印象的。かつ、それは、私たちにとって、重要な示唆を含んでいます。

それはどういう対立軸か?

ファイナンスの世界には、効率的市場仮説という考え方があって、ファイナンスを少しでもかじれば、すぐに出てくる考え方です。

それは、おおやけ情報に基づいて株を買ったとしても、平均的な儲け以上よりは儲けられないというもの。この基本的な考え方からは、アカデミックの世界は様々なメッセージを紡ぎ出してきました。

パネルのJulian Franks教授によれば:

ハイリスク・ハイリターンの考え方
投資分散によるリスク低減の考え方
正味現在価値の考え方

が挙げていました。で、ソロス氏は、この効率的市場仮説を真っ向から否定する立場をとっています。この仮説を否定するということは、そう、上記3つの考えもたちどころに崩れることになるというわけです。

Franks教授曰く、「これらの一連の美しい体系が崩れ去るので、だから効率性市場仮説にこだわらざるを得ないのだ」と。

さらに、若きホープ的な教授であるShivakumar教授は、明確に「効率性市場仮説は、使えるのだ。どんな理論にでも限界はある。限界があるところは、他の理論で補っていけばいいのである」という主張。また、「それらの限界や、ソロス氏の主張についてはアカデミックの世界では今研究している」ともいう。

ソロス氏が大もうけした最大の秘訣は、ハーがリー生まれのユダヤ人であった彼が、ナチスの迫害から逃れながら、さらにはハンガリーのハイパーインフレを間近に見ながら、独自の視点でマーケットを見ることができたことだと思うのです。

効率性市場仮説の限界については、ソロス氏も教授陣も認めるところ。ここは両者とも賛成しているのでしょう。しかし、その仮説をなんとか維持して、よく言えば発展させよう、悪く言えば、つじつまを合わせようとするアカデミックの世界に対して、自分独自のモノの見方をした結果、その仮説を否定するソロス氏。

ここには大きな違いがあり、その違いこそが、ソロス氏の大もうけの秘訣なのではないかと思ったパネルディスカッションでした。

既存の見方を通して物事を整理しようとするか?
ありのままの事実を自ら咀嚼しようとするか?

みなさんはどちらのタイプですか?

2009年12月11日金曜日

ヒートテックっていいですね

 



去年の冬から手放せないものがあります。そう、ユニクロのヒートテックです。明日からの旅行に備えて、オクスフォード・ストリートで、ヒートテックを追加。日本ほどの熱狂ぶりはないので、手に入りにくいということはなく、それは助かっています。

なにしろ、冬のロンドンは、日本より底冷えするため、ヒートテックは本当に欠かせません。そして、冬のヨーロッパ諸国も概して、東京より寒いので、そうヨーロッパを満喫にするにも、ヒートテックは欠かせないわけです。

最近は、毎日来ているので、ヒートテックのありがたさが当たり前になってしまったのですが、去年はじめて着たとき、一瞬暖かい空気の固まりに包まれる感がしたのが、今でも衝撃的に覚えています。売り文句に偽りなし、と感じる瞬間でもありました。

こちら、ロンドンでは、JAPAN TECHNOLOGY –FROM TOKYO TO THE WORLDをキャッチにプロモーションが展開されています。そして、何よりもユニクロのヒートテックが秀逸なのは、やはり、このコトバに凝縮されていると思います。

Give yourself a fashion edge with HEATTECH

すなわち、ヒートテックを使って、よりファッショナブルになろうと。そういうわけです。ヒートテックを着ることで、薄着でいい、冬だからといってド重いコートを着る必要はないというわけです。また、ヒートテックを下着としてきて、上着のファッションは他ブランドという組み合わせもOKです。

ファッションをじかに追求するのではなく、ファッショナブルになることを「支援する」ポジションを取りに行ったことが個人的には最大の学びです。より抽象化すれば:

ある価値そのものを提供するのではなく、その価値がより発揮できるように「支援する」というのもマーケティング上あり。

ということになりますでしょうか。

今年のヒートテックは、「魅せる」ヒートテックもあるので、徐々にファッションそのものを提供する方向にも進みつつありますね。
Posted by Picasa

大学院生のクリスマス・ディナー会

コチラロンドンではいたるところがクリスマスめいて参りました。

私が住んでいるロンドン大学寮であるInternationl Hallでも、いくつかクリスマス・イベントがあって、こういったのがあるのも、大学寮のいいところかもしれません。この間は、Children's Xmas Partyがあり、4歳になった我が子もサンタさんからプレゼントをもらって、大喜び。

International Hallについては、ときどきロンドン・ビジネス・スクールのアプリカントからも質問を受けるので、そのうちまとめてブログに書きたいと思います。

今日の写真は、昨日のクリスマス・ディナー会。外で食べるとちょっとしたパスタだけで10ポンドしてしまうロンドンで、なんと一人5ポンドでクリスマスディナーが食べられるというもの。今まで、メキシカンディナー、レバノンディナーとあったのですが、ことごとく逃していたので、ようやくこのシリーズ・ディナーに参加することができたというわけです。

 

 


コースは、トマト・スープ、ターキーと野菜、フライド・ポテト、パン、ワイン、デザート。寮のディナーですから、めちゃくちゃおいしい!というわけにはいきませんが、これで5ポンドと聞けば、納得。

また、ロンドン大学参加の他の学生の話しを聞くことが出来るチャンスでもありました。ロンドン・ビジネス・スクールは、ロンドン大学傘下ではあるものの、比較的独立しているので、他学部との交流は少ないので、このような機会は貴重ですね。
Posted by Picasa

2009年12月7日月曜日

Eメールを上手に書けますか?

みなさん、Eメールを上手に書けるでしょうか?

私たちは誰でも、何気ないEメールをもらっては喜んだり、何気ない励ましの言葉がうれしかったり、はたまた、メールでドキッとさせられたり、怒ったりとしているのではないでしょうか。誰かからの返答を長らく待ったり、きつい依頼分を送ったり。

メールは実に私たちの日常の喜怒哀楽といった感情と密接になってきていると思うのです。

ビジネスにおいてもメールは重要で、マネージャーならば、最低1割、多い場合では2,3割の時間、もしくはそれ以上の時間をメール処理に使っているはずです。最近はブラックベリーやiPhoneが出てきたおかげでもっと増えているかもしれませんね!

この時間の多さは半端な量ではありません。私たちは、莫大な時間をメールに注ぎ込んでいるといえます!

でも、これだけ、私たちの生活にインパクトがあるにも関わらず、この「メール」という響きが軽いのか、こちらのマネジメントの教授に聞いてみても、まだそういう分野(すなわち、マネジメントにおけるメールの効果的な使い方とか)はまだまだないのだそうです。

日本から送った1冊にこんなのがありました。ぱらぱらと読んでみると、これがスゴイ。じつによくできているんです。



つまるところは、英文のメールの書き方なのですが、タダ単に例文が並んでいるのではなく、相手との人間関係におけるパワーバランスや、依頼する内容、礼儀などに応じて、事細かに例文が分析とともに掲載されてあるのです。

とくに巻末の「状況別」依頼表現100 (100 ways to ask)は圧巻です。“フレーズは、ソフト(丁寧)な表現から徐々にキツイ表現になるようリスト化されている”とのこと。

「FastPACK(架空の配達サービス名)で送ってください」という依頼が100通りに並んでいるのです。

たとえば:

非常に丁寧
Do you think you will be able to send it by Fast PACK?

丁寧
I hope you’ll be able to send it by FastPACK.
I wonder if I could ask you to send it by FastPack?

ソフトかつポジティブ
I would be grateful if you would send it by FastPACK.
Could I trouble you to send it by FastPACK?

礼儀正しいがちょっとキツイ
I think we need you to send it by FastPACK

礼儀正しいが相手にノーと言わせない
Would you send it by FastPACK?

直接的な命令
We expect you to send it by FastPACK.
I advise that you send it by FastPACK.

というわけで、この本、読み物としても面白い。
改めて、コトバは、表現豊かになりうることを再認識させられた一冊です。

話しは戻って、メールのビジネスにおける重要性は高まってきているように思います。この本のようなノウハウがもっと共有されてもいいかと思っています。何かおすすめのサイトや本などがあったらぜひ教えてください。

輝くためには(2)

以前のエントリーの続きです。かなり前になってしまいましたが、続きを綴っておきたいと思います。

以前のエントリーから一部抜粋

“今の日本では、Gratton教授がいうところの、Hot SpotやGlowできる環境というのは減ってきているのかもしれない。経済が成熟してしまい、プロジェクトX的な熱くなれる場所、燃えることのできる場所が減っているのかもしれない。

もしそうだとすると、輝くために、個々人ができること、企業ができることがあるというGratton教授の主張は、日本にとって、大きな意義をもつことになるような気がするのです。彼女は、壮大なことを主張しているわけではなく、ごくごく「そうだよね」と思えることを言っていますが、その内容はまた今度”

さて、その輝くための3つの原則とは、コレ。

協力する力
異なる世界から学ぶ力
やる気に火を灯す力


さらに、この力が、

あなた自身にあるか?
あなたのチームにあるか?
あなたの組織にあるか?


というように、3つのレベルでチェックすることを進めています。この3×3のマトリックス、すなわち9つをチェックすることで輝き度とその処方箋が分かるというのです。詳しくは、ぜひこの本を手に取ってみてください。時間があれば、ぜひ訳したいくらい。



さて、さっきの3つの力に戻ります。当たり前のようでいて、自分の反省を込めて考えてみると、仕事が忙しくなってきたり、疲れてきたりすると、意外とできなかったりするもの。たとえば、こんな具合に。

協力する力
→何とか自分で問題をねじ伏せようとしてしまうが、結局時間がかかってしまう
異なる世界から学ぶ力
→切羽詰まっているので、何とか身近にあるノウハウで処理しようとしてしまう
やる気に火を灯す力
→心身ともに削りながら、とにかくこなす、終わらせることに終始する

と、こう書くと、じつはこういう症状の日本企業は多い気がしてきてしまうのです。しかし、悲観していても始まりません。

Good Newsは、この3つの力を企業「外」に求める活動が若手のビジネスパーソンを中心に広がっているのではないかというのが私の勝手な仮説です。これは、この夏に短期的に日本に戻った折に感じた印象です。

たとえば、勉強会ブーム。たとえば、ビジネススクールブーム。たとえば、他企業への自主的なコンサルティング。たとえば、NGOへの活動。たとえば、ボランティア。

10年も不況というニュースが長らく続くと、どこかでその憂鬱な雰囲気を鬱憤すべく、こうした活動に繋がっているのではないかと思ったりするわけです。

問題は、ここが肝心なのですが、それがなぜ企業内に起きないのか?ということなのです。この3つの力を発揮したいと願っている、そういう場を求めている飢えたビジネスパーソンはいるんだけど、その場が社内にないのが問題なのではないか。

だとすると、この当たり前に思える3つの力の重要性に再認識させられるのです。

2009年12月5日土曜日

ビジネススクールからみた日本(その2)

World Economyの授業で、日本はどう紹介されたか?の続編です。前回はこちら

当日は、Tokeo Hoshi教授 (University of California)もクラスにコール・インをして、1時間ほどレクチャーをしていただきました。

なぜ、日本はこんなに停滞が長引いているのか?二つの考え方が示されました。

一つ目は、基本的に次の3つの失敗によるというもの。
1. 財政政策の失敗
2. 金融政策の失敗
3. 不良債権処理の失敗

財政政策に関しては、景気がまだよくなっていない97年の時点で緊縮財政路線に少し切ったのが失敗だったというもの。金融政策も同じようなロジックで、まだ回復していない段階で、金利を少しあげたのがダメだったというもの。不良債権処理は着手が遅すぎたというもの。

もう一つ、紹介されたのは、東大のHayashi教授の考え方。Total Factor Productivity(TFP、生産性)が落ちているという考え方。

経済の成長には、資本、労働、TFP(技術など)が必要ですが、日本はこのTFPがずっと低下してきている、ということです。そもそも、生産性が低い、すなわち金融の問題ではなくて、構造的な問題を抱えているという指摘です。

たとえば、銀行システムが機能していなくて、いまだにゾンビ企業に融資しているとか、労働の流動性がないために、なかなか新しい産業に人がいかないとか、そういう話しです。しかし、これらの改革は遅々として進んでいないというのがもっぱらの見方です。

明らかに二つの理由のうち、後者が本質的な理由だと思いますが、マクロ経済の弱いところは、問題解決の段階になると、急激に無力化するというか、具体論にかけるというか、そんな印象をもちます。

そして、こんな講義資料にはこんなコメントも:
“Amazing that a country that in many ways remains at the frontier of new technology has struggled so much in achieving productivity growth”

技術立国の日本が技術や生産性で悩む何て、不思議だねぇ、という指摘。やはり、ここはミステリアスであるようです。前回の冒頭の話しに戻りますが、ここに成熟社会の難しさの本質がある見え隠れします。

2009年12月2日水曜日

ビジネススクールが見る日本とは?

World Economy and Future Prospectsのクラスの最終回は、Japan。この授業は、全10回に渡って、各地域のマクロ経済状況や、最近の経済的な話題を概観するというもの。

カバーしたエリアは、ユーロエリア、アメリカ、南アフリカ、中国、インドなど。その他のトピックとしては、グローバリゼーション、金融危機など。一応、まだ世界第二位の経済大国だからかどうかは分かりませんが、有り難いことに、一コマ日本が入っているという感じです。

それでは、ビジネススクールは日本のことをどう見ているのでしょうか?

日本への関心は?


このクラスは、出席をとりません。したがって、そのクラスの出席状況を見れば、おおよそそのテーマへの関心度が分かるというものです。このクラスの出席状況はどれだったでしょうか。私がザッと見るところ、出席率は50%といったところです。驚異の低出席率!

さて、次回以降、日本は一コマ維持できるでしょうか?考えようによっては、日本をはずして、アジア全域で語ったり、ロシアにもっとフォーカスしたりとか、色々とクラス・ポートフォリオの組み直しはできそうですが。

さて、低出席率に話しを戻すと、たしかに、最終回でモチベーションが下がってきている、試験で忙しいという理由も考えられなくもないですが、この意味するところは何でしょうか?

経済・政治という側面からみた日本への関心度は極端に薄れていることを実感するともに、このクラスのFuture Prospectsに対しても憂慮したい気分にさせられるのです。一方で、文化・食に対する関心は明らかに高いように思いますので、全てがダメなワケではないのが救い。


日本はミステリアスな国?

冒頭のクラスメートの質問:

“日本は、イノベーションを次々とやり、テクノロジーはすごいし、日本に行くと、ありとあらゆるものがよくOrganiseされているし、きれい。一方で、ニュースを通して聞こえてくる日本は、失われた10年、長期低迷などGloomyなものばかり。この矛盾は何なのか?”

なるほど。

週に何回かコンサルティング・ファームの模擬インタビューを日本企業を題材にケースを出しているのですが、ほぼ100%の学生は、「日本は、Technologically advancedな国だから・・・」という枕詞をつけてくるので、そういうパーセプションなのでしょう。

にもかかわらず、たしかにFinancial Timesなどから聞こえて来るニュースは、ここ最近いいいものを見たことがあまりない。ここが外国人にとって、日本のミステリアスな部分なんですね。

教授の回答は、Good question。難しい質問がくると、先生はこういう傾向があります(笑)。たしか、言っていたのは、これはDeveloped Countryの直面するチャレンジで、西欧諸国も参考にしないといけない。均衡点に達してしまったので、Total factor productivity(技術、生産性など)を押し上げる構造的なリフォームをしないとダメかもしれないというもの。

まとめると、スゴそうなんだけど存在感がない国、という感じでしょうか。

次回は、クラス内容のポイントについて。

(続く)

2009年11月30日月曜日

「信頼力」とはリスクをとること

元ボストンコンサルティングファームで、今はドリームインキュベータを率いる堀紘一氏は、「今の若者は信じる力は弱い」と言い切ります。すなわち、最近の傾向として、信頼する、そういった力が弱まってきているというのです。

ビジネスにおいては、信頼=TRUSTが大事。そう言われます。でも、一体信頼するとはどういうことなのでしょうか?また、信頼がなぜ、ビジネスにおいて(いや、もちろんそれ以外でも)大事なのでしょうか?

じつは、Madan M. Pillutla教授の論文の中で、”Trust Involves Risk”というフレーズが出てくるとおり、信頼するとは、リスクをとることに他なりません。信頼するとは、相手が返報しないリスクを認識しつつも、何かを与えることといえます。

たとえば、何らか重要な情報を相手に与える際、もしかしたらその情報は漏洩するかもしれない、その情報を本来の目的に使ってくれないかも知れない、そんなリスクを抱えつつも、相手を信頼するときは、その情報を渡すわけです。

仕事を部下に任せるときも同じです。その仕事を任せたとしても、期待したとおりにできあがってこないかもしれない。でも、その部下を信頼するから、そのリスクを抱えつつも、仕事を任せるわけです。

で、なぜこの信頼することが大事かというと、信頼された相手も、その信頼の重さを感じ取って、信頼してくれた人に何かを返そう、そう思うのです。そこからいわゆる、信頼関係がはじまり、物事が進んでいくわけです。

でも、この初めのリスクをとることができなければ、何も始まらない。

冒頭の質問に戻って、なぜ信頼力とでも呼ぶべき力が落ちてきているのか?それは、昨今のリスクをとりたがらない若者の嗜好が原因で、信頼するという行為の中にあるリスクをとることを避けているからではないか、そんな風に読み解くことができます。

"Trust Involves Risk”

2009年11月29日日曜日

ロンドンで見かけた風変わりなレストラン

ロンドンで見かけるリテールの業態は、たまに新鮮で、マーケティングでいうところの新しいポジショニングってまだまだあるよね、と感じずにはいられません。新しいアイディアを出すための頭の刺激に、今日は2つのレストランを紹介します。

陶器の絵付けができるカフェレストラン~ビスケット

こんな組み合わせ、一体だれが考えたのでしょう?こんなのあり?そう思えるのがこの「ビスケット」。ファミリーセグメントを狙った、陶器の絵付けができるカフェレストラン。メニューは、子どもを想定して、ケーキ、スィーツが充実。食事は、パン、スープなどが取りそろえてあるとともに、ひとおりのカフェメニューがあります。

よく考えると、ロンドンにはファミリーレストランなるものはなく、家族が落ち着けるカフェ的空間がない。そんな隙間を埋めるかのように、このレストランはオフピーク時間の時のも関わらず、繁盛していました。






おしゃれな回転寿司チェーン~Yo SUSHI!

Wagamamaなどロンドンの日本食レストランを手がけたBruce Isaacs氏プロデュース。日本で回転寿司というと、反射神経的に「安い」と連想しますが、その反対を行くのがこの回転寿司チェーン。内装はおしゃれで少しポップ。客層もカップルなども入っていて、値段もやや高め。ハイセンスなおしゃれ系として回転寿司が位置づけられているのです。ただし、味はイマイチ。




Posted by Picasa

クリスマスらしくなってきた



近所のショッピングセンター、Brunswick Cetreは、
上品なライトアップに身を包んでいます。
あっという間にクリスマスの時期になってきました。
Posted by Picasa

経営者が考えるべきビジネスモデルの次に大事なこと

WHAT IS YOUR MANAGEMENT MODEL?
This could be your second important question you ever ask about your business. Here’s how you answer it.
Julian Birkinshaw and Jules Goddard
(クリックをすればダウンロードできます)



MIT Sloan Management Reviewに掲載された論文で、実に示唆に富む内容です。



経営者の悩みはつきません。その最たる悩みは、ビジネスモデル。だれに、何を、どのように提供し、どのように対価を回収するのか。



最近は、その悩みに加えて、そのビジネスモデル実現に向けて、どう目標を設定し、どう実行するのか、すなわち経営のやり方、すなわちマネジメントモデルも選択する必要が出てきていることをこの論文は指摘しています。



たとえば、ゴールドマン・サックスのマネジメントモデルと、Googleのマネジメントモデルは明らかに違います。オーストラリアで仕事の合間に波にのるGoogleの社員と、シティで夜中まで働くバンカー。



もちろん、ビジネスモデルは全く違いますが、それに加えて、経営のやり方=マネジメントモデルも違うことは、直観的に分かるかと思います。



では、一体、何が違うのでしょうか?マネジメントモデルが違うとはどういうことなのでしょうか?この論文は、みなが何となく認識している事実を、明示化したことにその価値があると思います。マネジメントモデルというと、堅苦しいですが、その内容は次の4つの視点です。



1.どのようにゴール設定をするのか?

 明確なゴール設定 or 遠回りなゴール設定

2.どのように動機付けを行うのか?

 お金 or やりがい

3.どのように活動をコーディネートするのか?

 官僚 or 自然発生

4.どのように意志決定を行うのか?

 ヒエラルキー or 集合知



たとえば、どのようにゴール設定をするのか?については、こちらを。ストレートにゴール設定をするのか?遠回りなゴール設定をするのか?その選択をする必要があるというわけです。



活動のコーディネーションについては、たとえば、コンサルティングファームのプロジェクトごとのコンサルタントのチーム編成では、官僚的というのは、会社側でチームを決めていくというやり方。もう一方のやり方として、会社がフリーランスのコンサルタントを抱えていて、クライアントがチームメンバーを選ぶというぶっとんだ事例が紹介されています。そう、会社がコンサルタントをアサインするというプロセスがいらないわけです。



このように、この4つの要素、それぞれに関して、大きく二つの方向性があり、経営者は最適な「方法」を選択する必要がある、というわけです。著者ら曰く、このマネジメントモデルは、経営者の間ではあまり議論されることがなく、過去の継続であったり、経営者のやり方・好みで決まっていることが多いとのこと。



今一度、このマネジメントモデルを見直すことを薦めています。さらには、このマネジメントモデルこそが、競争優位の源泉になることを指摘しています。



企業が勝ち残るためには、何らかの意味において、すごいところ=競争優位が必要です。それは、昔は、商品がすごいということからはじまり、ビジネスモデルがすごい、社員がすごいなどいろいろな「すごい」がありました。これからは、この「マネジメントモデルがすごい」というのも、ひとつの戦い方になるだろうということが書かれています。



マネジメントモデルの4つのポイントを簡潔に説明してあると同時に、それらをサポートする極端な事例も多く散りばめられ、思考が刺激されるおすすめの小論文です。来年にはこの本も出るらしく、そのPreview的な価値もありそうです。

世界を股にかけた週末@グリニッジ

今朝起きたら、ロンドンは快晴!これは出かけるしかない!

世界標準時として有名なグリニッジに行って参りました。じつは、このグリニッジ、ロンドンからそう遠くなく、私が住んでいるRussell Squareからは、188のバスに乗れば、30分ほどでグリニッジにつくことができます。

グリニッジといえば、グリニッジ天文台が有名ですが、現地の人に親しまれているのは、むしろグリニッジ・パーク。さすが、公園が自慢のロンドンとだけあって、広大な公園が見事に広がります。



さらに、グリニッジの町には、大英帝国時代の海軍を育成したその総本山、海運学校があった場所でもあります。これが、旧王立海運学校というわけです。向かって右側が、ペインテイド・ホールと呼ばれる水兵の食堂で、左側が礼拝堂となります。



ペイテッド・ホールの内部は、まさにペインテイド(Painted)というだけあって、見事に絵画が壁と天井に広がっていて、その迫力は圧巻です。このペイントには、20年近くの歳月がかけられているのだとか。さすが、大英帝国、気合いの入り方が違います。



グリニッジ・パークの中にある丘を登っていくと、そこが旧天文台となります。ここからの見晴らしは抜群で、多くの人で賑わっている人気スポットとなっているようでした。遠くに見えているのは、ロンドンの再開発地区-カナリーウォーフですね。成功した再開発地区を横目に、グリニッジにも火がついたのでしょう、ここもいくつもの再開発プロジェクトが街の至る所で見ることができました。



そして、銀色の0度線はここにアリ!そう、私は東半球と西半球を股にかけて、帰途についたわけです。世界を股にかけた日としておきましょう!
Posted by Picasa

2009年11月27日金曜日

交渉術から「人間くささ」を学ぶ

みなさんは、「交渉」をするでしょうか?じつは、広い意味でとらえれば、だれでも、だれかと、何らかの形で「交渉」していると思います。今日はだれが掃除をするか?子どもの面倒みるか?といったパーソナルなことからはじまり、仕事でいえば、営業や給与交渉、はたまた企業の買収金額の合意にいたるまで、あらゆるところに「交渉」はあるかと思います。



MBAにも「交渉」の授業があり、私もただいま受講中で、イヤイヤ、これがなかなかエキサイティングなのです。なぜかというと、なんというのでしょう、人間のバイアス、弱さ、エゴなど、そうした「人間くささ」を学ぶうえで、「交渉」は打って付けの材料なのです。



ここ最近では、グループ間での交渉を行いました。私たちは、ある学校地区の教育委員会となり、教師組合と交渉するのです。この地区は予算が厳しく、どうやっても教師連合側には、教師のカット、給与カットなどを飲んでもらわなければ立ちゆきません。まさに、気分はさながら、日航の労組交渉?



それも、5時間以上かけて、グループ間で交渉していきます。各チームとも、エクセルで精緻なモデルを作り上げ、多数の交渉項目を確認していきます。授業のための演習なのですが、Executive MBAの学生も含めた大のオトナが実際にどんどん白熱していったのを振り返ると、いやー、何とも不思議なものです。ヒートアップしたあげく、我がチームは、合意に至れず、決裂じまい。



かの名著「影響力の武器」にも書いてありますが、人間というのは、二つのグループにそれぞれ違うゴールを与えただけで、その二つのグループはお互いにいがみ合い、「やつら」「うちら」という概念をあっという間につくりだしてしまうそうですが、今回はまさに、この「やつら」シンドロームを体験することとなりました。



企業内の組織間の対立、牽制、感情的しこりなども、まさにこれ。これが人間の特質そのものなのですよね。というように、こうした「交渉」の演習を通して、人間的くささが浮き彫りにされていくというクラスなのです。



本日は、われわれの交渉をビデオで振り替えながら、何がよかったのか、何がよくなかったのかを振りかえりました。教授いわく、われわれの交渉決裂の致命的な点は、我々側の問題のフレームの仕方。



私たち側の出だしのアプローチは、赤字予算を回避するために、教師側に「お願い」するモードにうつったというのです。現状維持ありきで、それを手放すように交渉を進めたように見えたということです。「お願い、お願い」というモードだけでは、相手としては、そんなお願いばかり飲めるか!というトーンになってきてしまうわけです。



しかし、あるべきは、現状維持はまず無理で、大きな苦しみをこれから伴うことになる。その苦しみをどうやって、「最小化し、共有できるか」という議論に切り替えるべきだという指摘です。すなわち、現状維持はそもそもハナだめ!という設定をすべきだったのです。



このあたりは、プレーヤーとして話しているとそうしているつもりでも、そうはならないので、やはり第三者の冷静な立場が本当の交渉のときにも必要でしょうね。



その他、信頼やフェアネスの生まれ方、結託の仕方、論争のとり扱い方などのトピックスを扱っていきます。そういった意味で、「交渉」の授業というと、やや狭く聞こえますが、じつは、この授業は、「人間くささ」に向き合わせてくれる貴重なレッスンだと思います。

2009年11月26日木曜日

イノベーション産み出す問い:Eメールを今発明したらどうなるか?

Eメールを今発明したらどいうものか?


だれもが使うEメール。これを今、発明したらどんなものになるか?


これがGoogleの開発メンバーが、Google Waveを開発するときに投げかけた問い。いや、じつにいい問いではありませんか。



Google Waveは今年の5月にリリースされた、Googleが放つEメールにかわる次世代のコミュニケーションツールです。



リアルタイムにドキュメントや画像などを編集作業できるかなりのすぐれものです。とくに、そのリアルタイム性がウリで、メールを書く際も、相手が一字一字打ち込むのがこちらの画面で確認できるからスゴイ。



私たちは、会話するときも、相手が話し終わったあとに、話しの内容を理解するのではなく、逐次理解しているもの。だから、インターネットの世界でもそうあるべき、ということなのです。



さらに、違う言語でテキストで打ち込んでも、これまたリアルタイムで翻訳していくから、異国のヒトとリアルタイムチャットもできてしまう。







私もまだ使い始めで初心者ですが、慣れるためにあるプロジェクトでは、このWaveを使ってコミュニケーションしようということにしています。(詳しい方いろいろ教えてください!)



話しは戻って、このWave開発にあたっての、問いかけが秀逸。今、Eメ-ルを創るとしたら、どういう姿形をするか?



Googleによれば、Eメールが発明されたのは、40年前。メールなんて、最近のこと、と思っていたら大間違いで、もうかれこれ40年も経つのですね。それから、というもの、ブログ、ソーシャルネットワーク、Wiki、Twitter、Flickrなどなど数え切れないほどのコミュニケーションが出てきました。



であるならば、そういった今流のコミュニケーションスタイルを踏まえて、僕らが今、最も頻繁に使っているEメールを作り替えるとしたら、どうなるか?と問うたら、それこそ、様々なアイディア、インプレーションがわいてきそうです。



こういうのを、リンダ・グラトン教授流にいえば、Igniting Question -燃え立たせる質問-というのでしょう。Igniteとは点火する、という意味。着火させる、そのきっかけをあたえる質問という意味あいです。



こうしたIgniting Questionsを次々と投げかけて、みなをびっくりさせるサービスをリリースし続けることができる。



であるとするならば、みなさんの業界、会社、部署、もしくはチーム、はたまた個人の成長に向けたIgniting Questionは何でしょうか?



たとえば:



戦略コンサルティングファームというビジネスモデルが出現してから、かれこれ100年。その間、基本的なビジネスのやり方は変わっていません。今、0からコンサルティングファームをつくるとしたら、どういう形になるか?



なんていうのは、どうでしょうか。不思議なことに、この業界も基本的な仕事のやり方は驚くほどかわっていません。アイディアあったら、ぜひ募集中です。

2009年11月22日日曜日

Nikkei Net:米グーグル、ユーチューブに字幕表示 動画の検索容易に

インターネット検索最大手の米グーグルは、傘下のユーチューブがネット配信する動画に自動で字幕を表示する技術を開発した。あらゆる動画に字幕を付けることで動画の検索が容易になるほか、字幕を別の言語に自動翻訳するサービスの展開などにつなげる。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091122AT2M2101V21112009.html



これは、あらゆる人々にとって、朗報ですね。ここ最近の情報技術の発展には目を見張るものがあり、Googleは次々とそれをリードしていった感があります。今回の機能は、動画検索を可能にするということで、大いに楽しみです。



そもそも、動画コンテンツの困ったところというのはどういうところでしょうか?



最近は、TEDや、大学の講義、大物の講演など良質な動画コンテンツに加え、われわれ一市民が作り上げる動画コンテンツと相まって、動画コンテンツの量は、それこそ莫大に増えていました。



しかし、動画の問題点は、テキスト文章のように、さっと目を通すことができないというもの。テキスト文章ならば、とばし読み、精読など、そのあたりの緩急の付け方は読者次第。いわゆる「速読」がきくんですよね。



一方で、動画の場合は、「速見」がなかなかできなかった。一応、動画を見ざるを得ない。いくら倍速機能などはあるとはいえ、その間の時間は消費されてしまうわけで、時間効率が悪かったのは事実。



だから、人からいいと言われた、お墨付きの名スピーチなどはみるけれど、そういうのがないと、なかなか見ないという問題がありました。



しかし、グーグルの新しい機能によれば、動画に字幕がつき、そのテキストを検索しにいけるということであれば、必要な動画をピンポイントで検索しにいけることになります。動画を見続ける必要はなく、テキストを検索しにいけばいいわけですから。



様々な情報ソースを加工して、新しいコンテンツを創るコンサルティング業界にとっても、朗報です。コンサルティングをする場合、リアルなインタビュー、ディスカッションにはじまり、文献、リサーチペーパー、書籍、記事、ニュースありとあらゆる情報ソースを使いますが、動画を情報ソースとして使うというのはあまりなかったと思います。



今回のこの機能は広く普及すれば、動画コンテンツも立派なコンサルティングの一インプットとなりそうです。



携帯電話でも簡単に動画をアップできる時代。動画の海におぼれないようにするためのひとつの海図が提供されたといえますね。

2009年11月21日土曜日

日本人の英語力を上げるためには?~TOEFLを大学入試に

先日、同じくイギリスでMBA仲間の日本人が我が家に遊びに来た際、面白いことを言っていました。それは、TOEFLの大学入試科目に加えたらどうか、というアイディア。いやいや、これはいい案だと思います。

まず、ロンドンに留学して分かるのは、各国の学生の英語レベルの高さ。MBAのクラス構成をみると、イギリス人が10%以下、アメリカ人などのネイティブも2,3割。半分以上は、ノンネイティブなのですが、まず間違いなく、みな英語に問題がありません。

英語が苦手な国~日本という構図を実感せずにはいられません。英語が日本人が苦手な理由を言語の違いが大きいから、という人もいますが、東南アジア、アラブ諸国などの言語体系が全く異なる留学生も英語を流ちょうにしゃべるにつき、この論もくずれることになります。

日本人は、かれこれ10年近く英語に時間を使うわけですが、使えるようになった気がしない。その打開策として、TOEFLを大学入試にする案があるわけです。なぜ、TOEFLがいいのでしょうか?

TOEFLは、海外の大学・大学院の入試の際に外国人ならば誰もが受けなければ試験です。その何十年の歴史の中で、「TOEFLの点数は高いのに、英語がしゃべれない人がいる!」という大学からの不平・不満をつぶしてきて発達してきテストです。

だから、「使える」英語を計る試験で、きわめて実践的。ということは、日本人にとっては、きわめてシビアな試験になっていて、日本人MBA留学生組も、この試験には相当苦労させられているようです。

私は、幸い、前世代のTOEFLを受験したので少し楽だったのですが、今回のiBTと呼ばれる試験方式は、日本人が得意な文法セクションが全てなくなり、その代わり、スピーキングが加わることになりました。

また、英語も、アメリカ英語だけではなく、実際の場面に即して、イギリスやオーストラリアなどの英語も交じっています。
以下、TOEFLは、総時間4時間以上で、リーディング、リスニング、ライティング、リスニングの4つの側面をじっくりと試されるわけで、ここまで、徹底的に試験されると、日本人が得意な試験テクニックでは乗り越えられず、本当の英語力をつけざるをえません。

たとえば、Integrated Taskでは、リーディングをして、それに対してリスニング(これはそのリーディングをある教授が批判的に解説するというものだったりする)をして、それらをもとに、まとまった文章を書いたり、もしくはしゃべる必要があります!

大学入試の英語科目なんて、どの大学もその目的は同じはず。英語によるコミュニケ-ション能力の向上。ならば、その目的に即したTOEFL、世界の叡智をかけてつくられたTOEFLを大学入試科目にするのは理にかなっていることになります。それは厳しすぎるという声も聞こえますが、とはいえ、現実の英会話や英語の講義などを考えれば、このTOEFLもまだまだ聞きやすい方。

中高の教育界がこのTOEFL点数向上に向けて動き出したら、そのインパクトは大きいと思います。その上、TOEFLの大学入試化をすれば、膨大なコスト削減につながります。そもそも、共通スキルになりつつある英語の試験を個別の大学が課す意味合いはどれだけあるでしょうか?各大学が英語問題を作成する必要がなくなりますから。

2009年11月20日金曜日

MBA経済テキストのオススメ

日々経済時事ニュースに接している人なら、やはり経済理論を知っているにこしたことはありません。やはりビジネスをするにしても、経済については知っておくべし!ということで、MBAのカリキュラムには大抵、経済科目が織り込まれています。

LBSでは、必修科目として、ミクロ経済(Managerial Economics)、マクロ経済(Understanding the International Macroeconomy)の2科目、選択科目では、世界経済(World Economy)、新興経済(Emerging Market)などなどがあり、MBA科目群の中でも一角をなしているほど重要視されている感があります。

LBSで経済系の科目でよく引用される定番テキストが、コレ。けっこうオススメです。



MBA授業の分厚く、そして厳かで教科書を買って、初めの数ページを読んでアカデミック気分満載になるのですが、授業で配られる教材や読み物でほとんど事足りて、せっかく買った高額なテキストは、読まずにオシマイ、なんていうこともめずらしくありません。でも、この教科書はそうはならず、けっこう役に立ちそう。何がいいのか?

このテキストの序文から少し、引用してみます。

We wrote the first edition of this textbook in the firm belief that there was scope for a different approach to teaching students macroeconomics.
筆者らは、マクロ経済を教える、今までとは全く異なるアプローチがあるという信念のもと、初版のテキストを書きました。

なるほど、今までとは全く違うアプローチだそうだ。じつは、これ、マクロ経済の定番、そして多くの版を重ねているマンキューの経済本のことを暗にさして、それとは全く違うアプローチを展開したいとも読み取れるのです。



というのも、さらに序文を読み進めていくと:

A focus on making the reader a “sophiscated” consumer of economics. We do so by stressing the logic and intuition of economics rather than resorting immediately to technical model building and curve shifting

A global outlook using historical and contemporary data from around the world

Introducing substantive real-world issues first to motivate students an then introducing concepts and frameworks to explain them. Rather than illustrate models with insert boxes, we integrate the facts and the analysis.

つまりは、需給曲線がシフトするだとか、ハコが連なったポンチ絵を使った説明よりは、実際の経済問題をガンガン扱い、図表やデータをふんだんにつかっていますよ。経済理論を振りかざすのではなく、まずは直観やロジックを大事にしますよ、という感じでしょうか。

たしかに、この経済のテキストは、データと図表が大量にのっていて、そこがマンキューに代表される今までのマクロ本とは違うといえそうです。

従来のテキストはどちらかというと、需要曲線と供給曲線のポンチ絵が書いてあって、その線がシフトするといった感じの解説が繰り返しされていて、たしかに理論はめちゃくちゃ分かりやすくいのですが、いつの間にか浮世離れしてしまっていることも少なくありません。

ただし、この本2003年に発刊のため、売り文句のデータが古いのが玉にキズ。とはいえ、図表とデータをふんだんに活用して、ガチガチの経済理論を最小限にとどめたこの教科書は労作だと思います。金融危機を経て、経済や金融への関心が高まっている今、求められている本かもしれません。

2009年11月19日木曜日

London Business School日本語サイトがあります!

オフィシャルなサイトであるhttp://www.london.edu/とは別に、日本人コミュニティ有志で運営している“非公式”日本語サイトがあり、ときどきアップデートしていますので、MBA留学やMBAそのものにご関心のある方はぜひチェックしてみてください。
http://www.geocities.jp/london_bizschool/

また、このサイト経由から、日本人在校生とインフォーマルにお話する機会にも申し込むことができますので、ぜひ活用していただければと思います。私は、キャンパスビジットをしなかったので、偉そうなことは何も言えないのですが、在校生と直接会って話しをして、キャンパスの雰囲気を感じ取ることで、出願エッセイのクオリティが変わってくるともよく聞きます。

正直に言えば、ウェブサイトは、ヤヤ使いにくい面もあり、必要なコンテンツにたどり着くのに難があったりするのは事実。ただし!中身ですが、コンテンツとしては、かなりよくできています。英語の公式ページより、LBSが提供していること、MBA生活が分かったりすると思います。LBS先輩方が書いたものを我々が継承しているわけですが、よく書かれているなと在校生としても、そう思います。

また、在校生による合格体験談や、インターンシップ体験談、各種プロジェクトの体験なども読み応えがあるかと思います-私は、出願時、これがあることを知らなかった!知っているばよかった!

以下は、LBSの授業カリキュラムの特徴を綴ったモノ(ホームページよりそのまま抜粋)

ロンドンビジネススクールのプログラムは、実ビジネスですぐに有効活用できる実践性に大変優れています。ビジネス界との強力なコネクションを最大限に活用したゲストスピーカーとの対話やプロジェクトワーク。ビジネス経験が豊富で世界最先端のナレッジを常にリードする超一流の教授陣。緻密に練り上げられた80科目以上からフレキシブルに選ぶことができる選択科目

MBAプログラムは、学生一人ひとりを世界の第一線で活躍するトップエグゼクティブに養成することを念頭に、膨大なリソースをかけて作りあげられ、そして常に進化を遂げています。実践性・実効性の高いレクチャーレクチャーは、実ビジネスでのアウトプットが最大化できるよう、常にプロフェッショナルな視点から展開されます。

ケーススタディでは、現実のビジネスがどのような状況に直面するかを多面的に理解し、それらは教授らの明快な理論によって紐解かれていきます。クラスのディスカッションは、ときにボードルームの議論さながらで、クオリティが高く大変白熱します。ケースの題材になった人物はゲストとしてクラスへ招かれ、学生と真剣な議論を行い、学生はケースでは読み取れない経営者の苦悩や葛藤までをもリアルに学びとることができます。このようなレクチャーのスタイルが極めて頻繁に行えるのは、ロンドンビジネススクールが、これらの一流企業から常に高い評価を獲得し、ロンドンという世界のビジネスの中心地に位置しているからでしょう。

シャドーイングプロジェクトセカンドイヤープロジェクト、各科目のアサイメント等では、学生は自分たちの興味がある企業に直接コンタクトし、コンサルティングやリサーチを行います。対象は、ロンドンはもちろん世界のどこにある企業でもかまいません。一流グローバル企業へコンサルティングを行ったりベンチャーの経営戦略を立案したりと、学生は何にも制約されることなく、好奇心や将来の展望を見据え、自身の腕と頭脳を磨くことができるのです。企業との強力なネットワークを獲得できることはいうまでもありません。

超一流の教授陣と最先端のレクチャープログラムをリードするのは超一流の教授陣です。ファイナンスでの確固としたステータスは周知の通りでしょう。世界中のMBAで教科書となっている
「Principles of Corporate Finance」(日本語訳本「コーポレートファイナンス」)の執筆者であるファイナンス界の権威、Richard Brealeyを筆頭に、Raman Uppalなど、そうそうたる教授陣が結集しています。教授自身が持つシティとの太いパイプも大きな魅力でしょう。

ストラテジーのレベルの高さも不動です。
「戦略の原理」「Fast Second」の著者Costas Markides、「コアコンピタンス」の提唱者Gary Hamel、国際戦略の第一人者George Yipなど、素晴らしい教授陣が教鞭をとります。「組織理論と多国籍企業」,「個を生かす企業」,「Sumantra Ghoshal on Management, a Force for Good」で有名なストラテジーの世界的権威Sumantra Ghoshalが近年惜しくも逝去したものの、彼が率いたドリームチームはそのレベルを脈々と受け継ぎ、飽くなき発展を遂げています。

また、アントレの充実度には目を見張るものがあります。Michael Hayや
「New Business Road Test」の著者John Mullins等教授陣は起業経験者・PE経験者等で固められています。教授陣が持つアントレ界とのネットワークも強力で、必然的に、卒業後の起業を真剣に考える学生も多数集まってきます。

他の分野も負けてはいません。たとえば、マクロ経済学の名著
「Macroeconomics」の著者であるAndrew Scott教授は、英国経済学界の重鎮として、英国財務省およびイングランド銀行にて金融政策に関するアドバイザーも務めてきた人物です。ロンドンビジネススクールには、世界最高の教授陣が引き寄せられるかのように集まっており、日々、その知識とネットワークを学生へしっかり伝授しているのです。

2009年11月18日水曜日

噂の激安英会話レッスン「RareJob」を体験

25分1レッスン、129円から~

という衝撃的なキャッチコピーで、色々なところで露出をしているこの英会話レッスンサービス。MBAのメーリングリストにも登場したので、思わず体験レッスンを受講してみました。MBA受験用のインタビューコースもあるということなので、これは朗報です。

仕組みはというと、フィリピンの大学生が先生で、スカイプを使って会話の練習をするというもの。だから、劇的に安いという。人件費が安い上に、スカイプは無料ですから。また、フィリピン人は気質がとてもやさしいし、英語がネイティブ並みときているので、先生としても最適ですね。

この会社の経営者である加藤智久氏は、20代のコンサルティングファーム出身者だそうで、ぜひ頑張っていただきたいと思います!

その価格が魅力的なことはもちろん、もうひとつ、これはイノベーティブだと思ったことがあります。

それは、スカイプで会話の練習をしながら、チャットの機能を使って、テキストやファイルのやりとりができるというもの。

たとえば、重要なフレーズや、語彙、言い回しなどをチャットで先生が受講生にリアルタイムで送ることができる。また、議論用するための写真、や題材、ウェブのリンクなどもガンガン送ることができるわけです。

聞きづらいフレーズも、このテキストのチャット機能を使えば、一発で解消。

そういった意味では、リアルのFace-to-faceの英会話レッスンに比べて、いくつかの側面で、この手のスカイプ型のレッスンが凌駕しているともいえるかもしれません。

スカイプのチャット機能。何気ないのですが、英会話練習の経験ということでいえば、大きな変化です。

このあたりのVoiceのコミュニケーションに加えて、データのやり取りの仕方をもっと工夫、改良、革新していったら、画期的な英会話レッスン方式ができるかもしれない。

メキシコ人はアメリカを嫌いだけど離れられない

南米といえば、日本から遠く、サッカーくらいでしか馴染みがないかもしれませんが、今日は南米のリーダー格のメキシコについてのおハナシ。日本でメキシコといえば、何でしょうか?古くはアステカ文明の地であり、今ではメキシカン料理といったところでしょうか?

地理的にはアメリカの南部にへばりついているかのように位置している国ということになります。人種的には、南米特有のラテンなフレンドリーさ、気さくさがあって、個人的にはとても話しやすい方々達です。

Richard Porte教授によると、南米には、経済政策のジレンマではなく、トリレンマがあるということだそうだ。それは:

1.Dollarisation (貨幣のドル化)
2.Free Capital Mobility (資金の流動性)
3.Monetary Policy Independence (金融政策の独立性)

の3つ。南米は、よくニュースを耳にするように、経済的・政治的にやや不安定なところが歴史的にあって、メキシコも幾度となく金融危機を迎えていますね。アメリカから資金が大量にメキシコに流入して、ワーッと経済が栄えたかと思ったら、危機で資金が一気に引き揚げられて、ドボンと、アメリカに振り回されているメキシコ。

そんなわけで、メキシコ人の対アメリカ人に対する感情は、一般的にいえば、それほどいいものではないようです。でも、そんな感情を抱きつつも、アメリカがなくては、イキテイケナイのも事実。

クラスメイトのメキシコ人はこんな話しをしてくれました。

“うちの父親は仕事の関係で、しょっちゅうアメリカに行っていたけど、毎回、毎回、パスポートやらいろいろなチェックが厳しい。父親は、アメリカサイドのデータベースの不手際で、指名手配の人といつも間違われるんだ。”

“あるときは、それは間違いなんだ、っていうのが分かってもらえなくて、何人もの役人に拳銃をつきつけられたんだ。ひどいよね。”

“あと、商品は、アメリカに行って買ってきた方が安くて、いいモノが手に入るから、定期的にアメリカに買いに行くんだ。”


というように、ビジネスや生活の実質的なことを考えると、アメリカの存在は不可欠なよう。でも、どこかメキシコ人的には、アメリカ人が上から見下しているような印象をもっていて、素直になれないところもあるようです。もちろん、このあたりは、若い人になればなるほど、希薄になってきているようですが。

隣接地域との微妙な感情というのは、なかなか表に出てこないモノですが、みんなちゃーんと胸に秘めているものがあります。

2009年11月15日日曜日

日本人がPUNCTUALなワケ

LBSのようないろんな国籍が入り交じっているクラスにいると、やはりお国柄というのはでるモノ。ラテン系はいつも遅刻ばっかり、フランス人は交渉上手、日本人は時間を守る、などなどのステレオタイプな見方は、もちろん個人差はあるにせよ、あたっているなあと思うこともよくあります。ようは、やはり国民性は何らかの形であるというわけで、それを実感します。

どうやら、組織行動の研究成果で、日本人は、Trustが他の国民に比べて、とても高いのだそうです。たとえば、約束を守るであるとかそうしたことをきちんとこなす国民なのだそうです。だから、時間も守るわけで、周りからは、「日本人は、キチッキチッとしているよね、いつも時間通りだ」というお褒め(?)の言葉をもらえるわけ。

で、ここからが面白い。なぜそうしているかというと、なんとこういうことらしいのです。

1.相手を信頼しているからというわけではない。相手に対するTrust度はむしろ低い
2.社会の監視の目があって、その目を気にするから、約束を守る

という研究成果がでているようです。組織行動の教授から立ち話で聞いたので、この研究の出典先が分からないのですが、内容はおおむね上記のとおりです。

われわれは、上の2.の要因がとても強く存在している社会ということなのですね。「村八分」という言葉がありますが、まさにその観念があるからこそ、きちんとコミットしたことを履行するということらしいのです。相手を信頼しているわけではないという1.の要素は少し残念な結果ですが、まあ、我々日本人はこういう国民ということなわけです。

それはそうと、こうした海外の国民と比較したときの日本人的気質を客観的に眺めて、それを私たちがその強みと弱みを認識することは、世界標準的なコミュニケーションや振る舞いを身につける第一歩として、なんだかとても重要に思えてきました。

仕事がしにくい国民、それは日本人

イギリスは冬支度をしっかりすすめているかのように、枯れた木の葉があちらこちらに降り積もり、そして4時半には薄暗く、雨は降ったりやんだり。そんな秋から冬へと様変わりする際のこの憂鬱な雰囲気は、こちらの人は、“Depressing”などと言っています。

こちらでは、演劇やらオペラやらなどの室内エンターテイメントが盛んですが、やはりそうでもしていないと、このDepressingな気候に耐えられないということなのでしょうか。

今日は、Depressingな話題を一つ。ロンドンビジネススクールの同級生は、知れば知るほど、驚くほどInternationalな仕事をしている人が多い。もちろん、日本人や日本企業と仕事をしている人も何人かいたりするわけです。しかし、誠に残念なことに、彼らの日本人や日本企業に対する感情はよくないのです。これは、一体なぜでしょうか。

ひとことでいえば、一緒に働きにくい!ということなのです。さすがに、こちらの日本人なので、面と向かってそうは言わないにしても、なんというのでしょう、そのときの仕事を振り替えながら、It was a tough time for me thenなどというわけです。「あのときは大変だったよ」と。では、なんで働きにくいのか?いくつか挙げてみましょう。

まずは、お願いをしても、できるのか、できないのか、どちらなのかが分からないということ。
“結局、YesなのかNoなのかが分からないんだ”
“日本人は決して、明快にNoとは言ってくれないので、言葉の行間を敏感に読み取らないといけない。”
“We will try our best...but it might be difficultとか日本人が言ったら、ああこれはNoのサインなんだなと最近は思うようにしている”
“ある案件を依頼したら、やるというのでお願いしたものの、全然返事がない。こちらから問い合わせると、今やっているところ、という漠然とした答え。ほんとうにやってくれるのかどうかあのときは本当に分からなかった”

というように、このような例は、枚挙に暇がないのは悲しいことではないですか。

もうひとつは、日本人社員の行動が、上司がいるときと、いないときでまるっきり違うこと。会議中に上司がいるときは、その上司の言動を部下が微細に聞いていて、それに応じて、部下の行動が変わってくるという指摘です。
“どれだけ日本企業で、上下関係が大事か分かったよ”

今まで接していた日本企業を思い出しながら、起こりえる話しだと思いながら、こうしたコメントに耳を傾けるのも、残念になります。

でも、こういうのも無理はないなとも思うわけです。自分自身を振り返ってみても、海外の人と仕事をするときに、どういうところに気を付ければいいか、どういうスキルやマインドが必要なのかなどは、習ったことはないですから。 逆に、こうしたグローバルな人と仕事をしていくスキルやマインドを持った人というのは、そういう人がいない分、大チャンスということにもなります。

世界標準なコミュニケーション作法・振る舞い。
これを私の中のアジェンダに加えておくことにしたいと思います。

Knowing what makes groups tick is as important as understanding individuals. Successful managers learn to cope with different national, corporate, and vocational cultures. (P. Christopher Earley and Elaine Mosakowski, Harvard Business Review)

2009年11月10日火曜日

企業版暴れん坊将軍:社長が一兵卒になりすます

もうかれこれ1ヶ月前くらいになりますが、“The Art of Engagement”と題したディスカッション・イベントがありました。EngagementとかEngagingというのは、英語ではよく聞く言葉ですが、日本語では「やる気がある」といったようなニュアンスでしょうか。

面白かったのが建設業ClugstonのCEO Stephen Martin氏の話し。じつは、彼、Channel 4の企画番組”Under Cover Boss”に出演。この企画がおもしろい。社長である彼が、一現場作業員となりすまして、建築現場で働くというもの。それをカメラが追っかけていくという企画なのです。
http://www.channel4.com/programmes/undercover-boss/video/series-1/episode-2/chief-among-concerns

まさに、企業版暴れん坊将軍。一兵卒になりすました社長は、現場最前線の驚くべき事実に向き合うことになるわけです。役員室では全く見えなかった風景が見えてきて、矢継ぎ早に様々な施策を打つことになるわけです。

「どうせ、上の奴らは、オレらのことなんかかまっちゃいないんだ」と愚痴る同僚。解雇されたくないから、上司に言われるがままに休みもなく働き続ける契約社員。本社の社員は気付かない、ボーナスの支払いに関するミスコミュニケーション。

やはり、いつだって、現場最前線は大変であり、かつ本社からは遠い存在。本社マネジメントも、本社社員も、いつの間にか現場から遠ざかり情報が届かなくなる。自らは現場に身を置くのは大変だから、どうするかというと、レポートを求める。本社は情報共有と称して、大量の伝達文書を通知する。

そう、形式的な官僚主義がはびこってくる。レポートを書かされる感のある現場。誰も読まない通知文書の山。最前線の社員はまた、本社に対して不満をたれる。こんな日本企業の風景が浮かんできます。

社長がたまに一兵卒になるとイイ刺激になるように、こういうのって、たまに本社と現場社員を月に一度ずつ入替えていったらいいのかもしれないと本気で思ったりしますが、みなさんはどう考えるでしょうか?

“The Art of Engagement” Getting the most out of your employees
In most large companies, the number of employees who are highly engaged in their work is less than 30%, and the number actively disengaged is greater than 20%. These figures are scandalous: engaged workers are the lifeblood of any creative or entrepreneurially-minded company, and most companies are simply failing to create the conditions that make people excited about coming to work.

3.00-3.30pm REGISTRATION
Sainsbury Building, main doors area

3.30pm Engage: Why Employee Engagement Matters
Introduction:
Julian Birkinshaw, MLab
Panel Chair:
Stuart Crainer, Editor, commentator, & business consultant
Panel Speakers:
Nita Clarke, Involvement and Participation Association
David MacLeod, Macleod Review on Employee Engagement
David Smith, Author and consultant; former HR director, Asda

4.45pm REFRESHMENT BREAK
Lower Ground platform area, Sainsbury Building

5.15pm New and Innovative Models of Engagement
Introduction:
Julian Birkinshaw, MLab
Presentations:
Stephen Martin,”Under Cover Boss” – CEO, Clugston
Henry Stewart,”Relax, a Happy Business Story”, CEO Happy

6.30pm AFTER EVENT DRINKS RECEPTION
S1 Lounge area, 1st floor, Sainsbury Building

2009年10月29日木曜日

紅葉のリージェント・パーク



LBSは、リージェント・パークに南西面に隣接している

学食の冷たいサンドウィッチに飽きたら、公園のカフェでランチをしよう





平日の昼間は静かで穏やかで、見事な紅葉が広がっている!
Posted by Picasa